リノベーションのプロフェッショナル

先日の記事に書いた嶋田さんと共通するマインドをもった建築家を
NHK番組「プロフェッショナル」で紹介していた。

大島芳彦(2017年1月16日放送)| これまでの放送 | NHK プロフェッショナル 仕事の流儀

 

建物だけでなく、人と人の関係や、街のあり方を変えていく。
そこで主人公になる人々を巻き込むことこそが大切だと。

街が持つ物語を紐解くことがヒントになる。

 

 

リノベーションまちづくり

今日は、共感した一冊の本を紹介したい。

https://www.amazon.co.jp/ほしい暮らしは自分でつくる-ぼくらのリノベーションまちづくり-嶋田洋平/dp/4822200426/ref=cm_cr_arp_d_product_top?ie=UTF8

 ※どうでもいいことかもだけど、この本に出合ったのは近所の本屋さん
  アマゾンは便利で助かるけれど、町の本屋さんずっと元気でいてほしい

 

著者は、豊島区にある「らいおん建築事務所」代表の嶋田洋平さん。

「ほしい暮らしは自分でつくる」生き方を通じて、
リノベーションによる町の活性化に取り組んでいる人。

アマゾンの書評に「ボクは嶋田洋平に嫉妬してます」とあったけど、
私自身、嶋田さんの生き方がうらやましい!と心から思った。
うらやましがってばかりいても仕方ないので、行動しようと思った。

 

嶋田さんの言う「リノベーションで社会課題を解決する」を改めて考えると
やりがいを持って働くために、色んなことをあきらめている現実に思い至る。

かといって、
ワークライフバランス」という旗印のもと、時間内さっと働いて、ぴっと帰って、
アフターファイブは仕事のことはすっかり忘れて別の楽しみのために時間を使う...
という毎日が理想かといえば、私自身はそうでもない。

「生き方=仕事」のような、プライベートと仕事の境目があいまいな状況は
むしろ幸せなんじゃないかなあ、と思ってしまう。

嶋田さんたちが実践している「職住遊 超接近」の暮らしは、
そんな価値観にとてもしっくりきた。

「働く」「住まう」「遊ぶ」を、徒歩圏で実現できたら、とても快適だろうし、
快適な暮らしからは、未来に向かって進む力がぐんぐん湧いてくる気がする。

以前書いたように、「リノベーション」の定義は、新築以上の価値を生み出すこと。

嶋田さんたちが目指しているのは、建築空間としての機能向上に留まらず、
その建物が存在する場所(まち)に新しいつながりや出来事を生み出して、
雇用を生み出したり、活気をとりもどすようにしていくこと。

また「建築家として、人と建物の関係を再構築したい」という表現で
建築業界の受注の仕組みまでも変えていく必要性があると述べている。

建築物というモノだけでなく、そこで生まれるコトと合わせた価値が
評価されるようなスキームが必要ということだ。

社会の仕組みを変えるには時間がかかるけれど、
嶋田さんたちのような、勇気と行動力のあるリスクテイカーが
世の中を変えていくと思う。私もその一人になりたい。

 

 

リノベーションの落とし穴

リノベーション素晴らしい、という記事を書いたばかりだけど
今度は、リノベーションに気を付けよう、という話。

何度も書いているように、不動産取引って難しい。
金額の大きさに圧倒され、複雑な仕組みや専門用語に戸惑い、
大切な住まいを選ぶ(手放す)という大仕事を前に、隙が生まれてしまう。

悪質な(あるいは不注意な)業者が提示した物件の
買主に不利益をもたらす情報に気づかないことがあるのは
残念ながら、よくあるらしい。

急増するリノベーション物件の落とし穴[日本の不動産最前線 第9回]


今、首都圏の新築マンション販売が振るわない。
このところ価格が上昇し続けていて、普通の家庭では手が出ないのだから
ピーク時の4割程度になってしまっているのも納得する。

そうなると中古マンションが注目されるのは当然の流れ。
国からの、「住宅ストック循環支援制度」など補助金を活用すれば
更に家計にやさしい。ところが、水漏れや土台の腐食などの問題を
放置したまま売られている物件もまだ少なくないらしい。

きちんとした機関に専門的なインスペクションを依頼するとか
買主が自衛していくしかないんだろうな。

 

ちなみに、上記記事の第8回では、
不動産取引における「手付金・中間金の保全措置」について記載がある。

ちょうど今、私の宅建勉強中の項目なのだけれど
これから初めて不動産購入を検討しようとしているヒトなんかは、
知っておいたほうがよい知識と思うので、是非ご一読を。

マイホーム購入前に知っておきたい「最低限のこと」[日本の不動産最前線 第8回] | Forbes JAPAN(フォーブス ジャパン)

 

 

 

 

リノベーションは進化している

まず素朴な疑問。
「リフォーム」と「リノベーション」何が違うの? を調べてみた。

「リフォーム」は、古くなった建物を新築の状態に戻すことで、
故障や老朽化によって機能や見た目が低下している個所を直すこと。

「リノベーション」も、もちろん大抵は古くなってしまった建物への施工を指すのだけれど、新築時よりも性能や使い勝手を向上させるような大掛かりなもの。

 

1/9の日経MJの記事によると、最近のリノベーションは、
単に古い建物を蘇らせ魅力を高めるというだけでなく、
空き家解消や寂れた町の再生といった社会的役割を担うようになってきたという。

 

イノベーション・オブ・ザ・イヤー」なるものがあり
昨年12月に4回目の発表会が開かれていた、というのも、この記事で知った。
http://www.renovation.or.jp/oftheyear/2016/

 

受賞作のなかで、一番のお気に入りは「引き戸で部屋の間取りが変わる」http://www.renovation.or.jp/oftheyear/2016/entry_detail/1117
リノベーションが、限られた空間の可能性を大きく広げていることに、わくわく。

欧米住宅ではあまり使われないけれど、古来日本家屋の間仕切りは引き戸が基本。
スペース制約が大きいマンションなどにこそ、もっと採用すべきなのでは?
なんて考えてみたりして。

さらに、1/11付の記事では、リノベーション物件を住宅診断や保険とセット販売し、
購入後保証による安心を住宅リノベーションの浸透につなげている、とあった。

紹介されているリフォーム会社 ReBITA(株式会社 リビタ)のWebサイトを見てみると
これまた魅力的な事例がたくさんある。更にわくわく。
https://www.rebita.co.jp/

新サービス UNIT Base てのも、いい感じに見える。わくわくわく。
https://www.rebita.co.jp/unitbase/

 

そもそも、ホームインスペクション(住宅診断)って、
中古住宅市場が成熟している米国などでは社会の仕組みとして広く普及しているのに、ニッポンは、まだまだこれからって状況らしい。

これまでは中古住宅購入はリスク覚悟で臨むしかない選択肢だったわけだ。

それが「安心」付きで購入できるようになれば、
快適な「住まい」の選択肢が広がることになる。実によろこばしい。

とはいえ、不透明...というか複雑で判りにくいコトが多い不動産取引を
誰もが安心して決められるようになるには、まだまだ色んな仕組みが必要。

そんなこんなで困っている人を、助けられるようになりたいな!

 

 

 

買うか借りるか、住まいの悩み

「終の棲家」という言葉がある。
人生の最期を迎える時まで暮らす住まいのことだ。

老後を考えると持ち家のほうがいいよ、という意見のヒトは
長生きして、家賃を払い続けられなくなったらどうするの、となる。

賃貸のほうが、気楽で身軽でいいよ、という意見のヒトは、
持ち家で隣家と折り合いが悪くなったらどうするの、となる。

まあ、どっちもどっち。
それだけで、いい人生が保証されるようなものでもない。

とはいえ、衣食住のなかでも「住」の優先順位が高いワタシ、
快適な生活空間を確保できないのはとても辛い。

快適性を優先させていろいろ比べてみると、
今の日本の住宅事情では、借りるより買うほうに軍配が上がるかなあ。

どうだろ。

 

 

「住まい」は、帰る場所(あたりまえ)

父親の仕事の関係で転居が多かった子供時代。

都度指定された社宅が「住まい」になるのだけれど、
そこが自分の帰る場所、居心地のいい処でさえあれば、住めば都。

どこに出かけても、最後に「帰りたい」と思う場所
帰り着いたらホッとする場所、それが「住まい」なんだろうと思う。

社宅、寮、賃貸、持ち家・・・すべて経験してみて感じるのは
人生のステージによって、最適な「住まい」は変わっていくということ。

生まれ育った家を守り続ける生き方も、もちろん素敵だと思うけれど
私自身は住処を移すことにあまり抵抗感がない。

ただし、どんなところでどんな風に暮らすかには、こだわりたい。
人生の基盤だと思うから。

 

とはいえ、住まいにかかわる手続きには複雑なことが多い。

部屋を借りるにしても、保証人やら契約やら、
単に面倒というだけでなく、失敗すると大きなダメージを負ってしまう怖さ。

専門家だけで理解され流通する情報を手に入れられないまま
不利な取引や、残念な選択をしてしまう危険性がとても大きい。

ネットによって情報の不均衡性が改善されているとは思うけれど
わからないことによって不利益を被っている人は少なくないはず。

 

不動産取引の場合、買主が専門家でない場合には
物件に何か問題が見つかった時などの責任所在について、買主保護の法規定がある。

ちょっとややこしいけど、今日はこの法規定を整理してみよう。

 ※  宅建受験準備のために勉強中なので、教科書を参照しながら書きます。
    万全を期していますが、もし解釈ミスがありましたら、ご指摘ください。

 

例えば、「いいな!」と思って購入した家に住み始めたら雨漏りがひどくて住めない
ような場合に、買主は売主の責任を追及することができる、と民法で定められている。
「問題を発見してから1年以内なら責任追及できる」と決められているのだ。
(もちろん、購入した後で生じたトラブルは対象ではない)

だったら、何か問題起きた時に対応すればいいか~、と思いたくなるけれど、
そう簡単にはいかなくて、ここから話が複雑になる。

 

「不動産に何かトラブルが起きた時に対応しなければならない」ということを
専門用語では「瑕疵担保責任(かしたんぽせきにん)」と呼ぶ。


民法上、この瑕疵担保責任は特約によって回避できることになっているものの、
売主が業者の場合には許されないことが、業法によって定められている。
これが買主保護の規定だ。

ちなみに、買主も売主も業者(専門家同士の取引)の場合は、
瑕疵担保責任にかかわる業法規定は適用されないそうだ。


瑕疵担保責任」が存在する場合でも、責任追及期間は規定できる。
これを短く設定すればするほど、売主のリスク減るわけだ。

そこで、宅建業法の規定では、買主保護の観点から
宅建業者が売主の場合の責任追及期間を「引き渡しから2年以上」と定めていて、
これに反する特約は無効になる。

つまり、もし契約書に「瑕疵担保責任は引き渡しから1年」と書いてあったら
それは、宅建業法違反なのだ。「契約から2年」もだめだ。

違反をすると、その特約は無効になり、民法の規定が適用される。
「瑕疵発見から1年以内であれば瑕疵担保責任を負う」となる。
たとえば5年経過してから初めて発見された、購入前に生じ、かつ隠れていた瑕疵も対象になる。(ここらへんの表現も、とてもデリケート)

 

家を買うとき、契約書にきちんと目を通すことが大切だと分かっているけれど、
実際のところ文章が複雑すぎて、流れを追うのが精いっぱいという場合が多いと思う。でも、もし上記のような法規定を知っていれば、契約書を用意した仲介業者のレベルがわかる。

買主がどうせわからないだろうと考えて、保証を求められないよう1年保証と記載している「悪意の業者」なのかもしれないし、契約の知識が足りず(あるいは、ついうっかり)記載を誤っている「杜撰な業者」なのかもしれない。

レベルを理解したことで、取引中止の判断をするかもしれない。
実際にトラブルが起きた時に、毅然として対応を求めることができるかもしれない。

 

ここで教科書には書いていないことに疑問がわいてきた。

つまり、個人/個人の売買契約の場合なら
「もし何かトラブルがあっても対応できないから、自分で何とかしてね」というような特約をつけた契約がありうる、ってことなのかね?

 

・・・法律の解釈ってむずかしい。
ややこしくて勉強つらいけど、がんばる。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

新しい街づくりと、高齢者の住まい

昨日の日経新聞朝刊の記事で「CRCC」という言葉を知った。

米国発祥のContinuing Care Retirement Community の略語で、
「高齢者が元気なうちに移り住み、地域貢献や生涯学習に取り組みながら
暮らす共同体づくり」という意味だそうだ。
介護や医療が必要になっても、引き続きケアが受けられるらしい。

そんなに遠くはない(!)自分たちの老後に思いをはせると、
守られた施設が安心なのかなあとも思うけれど、
自由に生きている感覚を持ち続けたいし、
高齢者だけで閉じ込められたようなコミュニティは息苦しい気もする。

東京都では、高齢者住宅と一般住宅を一体で開発するモデル事業に
補助金をつけて支援するそうだ。

医療や介護の拠点だけでなく、保育園や若い世代と交流できる施設など
が近所にあれば、リタイア後の生活にも張りがでるだろう。

新しいことに挑戦したい気持ちや、もっと社会の役に立ちたい気持ちが
むくむく湧き出してくるかもしれない。

そんな「自分らしい暮らしを実現する住まい」を見つけるお手伝いをしたい。

つまり、私が目指す "住まいアドバイザ" が担う役割のひとつは、
「日本版CRCC構想」を支えることなのかも?